同じ銅でも色が違うのはなぜ?銅の経年変化を解説します

同じ銅でも色が違うのはなぜ?銅の経年変化を解説します

さっそくですが、みなさんにご質問です。
私たちの身近に存在している「銅」には、なぜいくつもの色があるかご存知でしょうか?

銅に多くの色があるのは、経年変化が理由です。つまり、最初からさまざまな色を持った銅があるのではなく、一つの銅が時間の経過とともにさまざまな色へと変化しているのです。今回は、そんな「銅の経年変化」について説明していきます。
 

銅は時間とともに色が変化していきます

新品の銅は、美しい赤褐色をしています。しかし、銅がいつまでもこの赤褐色の状態を保っているわけではありません。耐食性や加工性に優れるなど、多くの場面で活躍してくれる銅ですが、酸化によって変色が発生しやすいのも銅の特徴です。
 
銅の酸化が進むと、色は以下のように変化していきます。
 
赤褐色 → 褐色 → 暗褐色 → 黒褐色 → 緑青色
 
赤褐色だけでなく、緑青色に変色した銅も見た目の美しさから人気が高く、建物の屋根やモニュメントに多く使われています。大阪城やアメリカのニューヨークにある自由の女神などは、その代表的な例と言えるでしょう。
 

銅が変色する理由とは?

銅は時間とともに変色していくものと解説しましたが、ではなぜ変色は起きるのでしょうか。
 
銅の変色には、「錆(さび)」が大きく関与しています。錆とは、金属の表面にある原子が酸素や水分などと触れ合うことで生成される腐食物のこと。銅が水分内にある溶存酸素などに触れると、銅の表面には酸化第一銅が生成されます。この酸化第一銅がいわゆる「銅錆」で、見た目は主に赤褐色です。この酸化第一銅が酸化性の強い環境に置かれていると、徐々に黒ずんでいき、黒褐色に見える酸化第二銅が生成されます。
 
この酸化第一銅に酸素・亜硫酸ガス・水などが反応すると、塩基性硫酸銅が銅の表面に発生し、長い年月をかけて今度は緑青色に変化します。また、二酸化炭素や遊離炭酸が反応して塩基性炭酸銅が作られた場合にも、同じように緑青色となることが分かっています。こうしてできた銅錆が「緑青(ろくしょう)」です。
 

「緑青は人体にとって危険」は迷信

昔の日本では、緑青はその見た目の鮮やかでまがまがしい印象から、人体に有毒であるとされていました。学校の教科書にもそうした記述がされていたため、多くの人が緑青は危険だと信じていたのです。
 
しかし、「緑青は無害である」と主張する一般社団法人日本銅センターなどによる懸命なアピールもあり、1984年8月に厚生労働省(当時は厚生省)は「緑青は無害な物質」と認定。現在、有識者から「緑青は有害だ」という意見を聞くことはほとんどありません。
 
緑青色が目立つ古い大仏などの銅から溶け出したものは、毒となるため口に含むのは危険です。しかし、それは銅に添加されている「ヒ素」や「鉛」が原因であることがほとんどであり、銅錆の緑青そのものに有害性はないのです。
 
現在、鍋やマグカップなどに使われている銅には毒となる成分はほとんど含まれていないため、たとえ色が緑青であったとしても人体への悪影響は考えにくいと言えるでしょう。
 

まとめ

今回は銅加工の主役、銅の変色とその原因・理由についてご説明しました。

銅はあらゆる分野で役立つ万能性が高い金属ですが、鉄などと比べるとそこまでさまざまな特徴が認知されているとは言えません。今回は「色」についてご紹介しましたが、これからも銅の特徴についてさまざまな情報を発信していければと思っています。
 
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