加工の精度にも影響する?銅や各金属の融点について

加工の精度にも影響する?銅や各金属の融点について

こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。

金属は非常に多くの種類が存在しますが、それぞれ融点が異なることをご存知でしょうか。金属の融点は加工の精度にも関係する要素です。特に金属を溶かして型に流し込む場合は、融点の違いで溶解炉の温度も変わってきます。各金属の融点を把握することで、仕上がりのイメージについて共通認識をもちやすくなるはずです。今回は、銅を含めた金属の融点について解説するとともに、融点の高い素材の特徴について紹介します。

金属ごとに異なる融点について

金属にはそれぞれ特徴が異なりますが、融点に関しても種類によって千差万別です。溶解したうえで型に流し込むことを想定している場合は、それぞれの融点を把握していると加工の工程も理解しやすくなるでしょう。

金属元素名 記号 融点(℃)
タングステン W 3407
モリブデン Mo 2623
白金 Pt 1769
チタン Ti 1666
Fe 1536
ニッケル Ni 1455
Cu 1084.5
Au 1064.43
Ag 961.93
アルミニウム Al 660
亜鉛 Zn 419.58
Pb 327.5
スズ(錫) Sn 231.96
リチウム Li 180.54
セシウム Cs 28.4
ラドン Rn -71

金属の融点は、プラスチックなど他の工業材料に比べると総じて高い傾向にあると言えます。そのため、溶かして液体にするには、かなり高温の溶解炉が必要になるでしょう。

 

他の素材に比べて金属の融点の高さが意味すること

金属は、その他の素材と比べて融点が比較的高い傾向にあります。たとえば、プラスチック材料の多くは100℃未満の融点です。一方の金属は上記の表でもわかる通り、数百℃を超えないと融点に達しないのが基本であり、いくつかの金属に関しては融点が1000℃以上になります。

融点が高ければ、たとえ高温下であっても融解する心配がなく、形状を保てます。そのため、素材として安定したパフォーマンスを発揮しやすいと言えるでしょう。特に融点が高い「タングステン」や「モリブデン」などの金属は、その長所をいかし火力発電のボイラー、自動車のエンジン、飛行機のタービンなど高温にも耐えることが求められる部品に採用されています。

一方で、融点の高い金属は、溶解炉などの活用が必要となるため、加工の難易度が高まります。設備の有無や安全性を考慮すると、個人での対応は難しいと言わざるを得ません。そのため、融点が高い金属素材の加工を検討する場合は、専門の業者に依頼を出すのが望ましいでしょう。

 

融点の高い銅の用途

銅は融点が「1084.5℃」であり、金属の中でも平均よりやや高めです。その一方で200℃を超える環境では軟化しやすくなる傾向もあります。そのため、タングステンなどの「耐火金属」と呼ばれる素材とは、用途が明確に異なります。

銅は導線や電子機器の材料など、そこまで高温な環境下に置かれないアイテムが主な用途です。また、フライパンやマグカップ、やかんといった料理器具や食器に用いられるケースも多いでしょう。一方で、より高温な環境に置かれやすい中華鍋には銅ではなく、鋼やチタン合金、アルミニウム合金が採用されます。その他、銅はドアの取っ手や家の屋根板など、異常に高温な環境とはなりにくい場所で、多くの建築物に用いられる金属です。

 

多くの場面で銅の加工が採用されている理由

銅は融点が特筆して高いわけでもなく、加工にも専門的な技術を要するにもかかわらず、なぜ多くの製品に採用されているのでしょうか。その理由の1つが銅の持つ柔軟性です。銅は金属の中では柔らかい材質であり、伸ばしたり押し込んだりすることで変形させられます。こうした特徴から、銅線、銅板、銅管、銅棒など、多岐にわたる製品への加工がなされているのです。

柔軟性の高さから、さまざまな加工に対応できる点も銅の魅力の1つ。主な銅の加工として「曲げ加工」「切削加工」「絞り加工」などがあり、たとえ複雑な形状や細かな模様が必要な場合にも、専門的な技術があれば対応可能です。

銅は金属としての寿命が長い点も見逃せません。そのため、バルブや歯車など長期間の使用が求められる工業部品としても重宝されています。また、耐食性に強いのも銅の特性です。その他の金属と比べて錆が生じにくく、見た目が美麗であることから建築素材としても使用されます。こうした数多くの特徴を備えている点こそ、銅の加工が多くの場面で採用されているのです。

 

まとめ

今回は、加工の依頼前に知っておきたい各金属の融点について紹介しました。融点の高さによって適した加工物は異なるため、どの金属を扱うかよく見極める必要があります。また、金属加工は業者の技量によって完成物の精度に差が生じる可能性があるため、なるべく実績の豊富な会社を探しましょう。特に接合部材よりも融点の低い合金を溶かして接着剤のように用いる「ロウ付け」に対応している会社だと、加工のバリエーションもより豊富だと言えます。

「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社では、1935年の創業以来、金属の中でも主に銅に重点を置き、これまであらゆる加工に対応してきました。数十年にわたり蓄積してきた経験と巧みな技術によって、お客様の希望に沿った加工物の完成をお約束します。トーチ加熱、高周波誘導加熱で銀ロウ付けや半田付けにも対応していますので、銅の加工を全般的にご検討中の場合は、畑鉄工株式会社までお気軽にご相談ください。

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