もう間違えない! 「真鍮」と「青銅」の違いや用途を解説
加工性に優れた銅は、さまざまな製品に用いられている身近な金属です。
銅の中でも、合金である「真鍮(黄銅)」と「青銅」の2つは混同されやすく、間違いやすい素材です。しかし、それぞれの性質や用途には大きな違いがあり、適切に用いるためにはしっかり見極めなければなりません。
この記事では、銅加工で知っておきたい真鍮と青銅の違いや用途、見分け方について解説します。
真鍮と青銅それぞれの特徴
真鍮も青銅も、銅を主成分に持つ金属合金です。金属の混合物、あるいは金属と他の元素の混合物を合金と呼び、「ある特性を得る」ことを目的に作られます。その点で、合金は不純物を含む金属とは区別されます。
真鍮(黄銅)
銅と亜鉛で構成された合金を真鍮と呼びます。
融点が低く流動性にも優れる真鍮は、青銅や亜鉛よりも鋳造が容易です。亜鉛の添加量を増やせば強度が増し、加えて錆に強いうえ安価な真鍮は、多用途。耐食性を向上するためにアルミニウムを添加することもあります。
また、真鍮は物にあたっても火花が出ません。そのため、火気厳禁の場所で使用する工具に用いられます。
ラテックス・ゴム類との接触で化学反応を起こし、ゴムを分解腐食する点には注意しましょう。
青銅
青銅は銅とすずで構成された金属です。その他用途に合わせて、ニッケルやアルミニウム、亜鉛、りんなどが添加されます。
光沢がある青銅ですが、経年とともに光沢や表面の色味は変化します。青銅は十円玉に使用されているので、経年による変化を身近に観察することができるでしょう。ただし、青銅が緑青色になる原因は、表面に生じる錆が原因です。
青銅は、空気に触れ酸化してできた保護層により腐食が進行しにくくなります。また、海水による耐食性が高いので海洋で使用される部品や材料によく使用されます。
真鍮(黄銅)と青銅の違いを表で比較
同じ銅の合金である真鍮と青銅ですが、いずれもJIS規格で定められている元素組成は、真鍮が銅65%亜鉛、亜鉛35%、青銅が銅83〜87%、すず4〜6%、その他数%です。
主成分の違いによって、見た目や性質は下の図のような違いがあります。
|
真鍮(黄銅) |
青銅 |
元素組成 |
主に銅、亜鉛(20%以上) その他鉛、マンガン、鉄、アルミニウム、シリコン等 |
主に銅(80%以上)、すず その他ニッケル、アルミニウム、亜鉛、りん等 |
見た目 |
明るい黄金色 |
くすんだ金色(赤褐色) |
錆 |
黄色 |
青色 |
代表的な使用例 |
五円玉 |
十円玉 |
耐食性 |
良好 |
優れる |
耐久性 |
高い |
高い |
被削性 |
機械加工性が高い |
中程度 |
溶接性 |
良好 |
高い |
このように、真鍮と青銅を比較してみるとその違いは明らかです。
真鍮(黄銅)と青銅の見分け方
真鍮(黄銅)と青銅のもっとも簡単な見分け方は、その「見た目」でしょう。両者を比較した際に、青銅は赤みを帯びた金色、真鍮は明るい金色です。
しかし、単独でどちらなのかを見極めるのは容易ではありません。
新品に近い5円玉と10円玉があれば、真鍮・青銅を比較しやすくなります。ただし、表面処理加工を施した青銅は素材の色がわかりにくい場合があるので、やすりなどで表面の処理部分を削り取って色合いを確認しましょう。
真鍮(黄銅)と青銅の用途
似通っていて見分けにくい真鍮と青銅ですが、その用途は大いに異なります。そのため、慎重に見極める必要があるのです。
真鍮(黄銅)の用途
真鍮は明るい黄金色が美しく、主として装飾用に向く合金です。高い耐久性から、工具のほか見た目の美しい楽器にも用いられます。抵抗が少ないため、錠前などにも向きます。
ただし、真鍮の黄金色は銅・亜鉛以外の金属が色あいに関わっており、添加量によっては色が変化することがあります。
青銅の用途
青銅は海水による耐食性が高いので、船や船の部品などに用いられることが多くあります。ただし、塩素化合物に継続してさらされると劣化するので注意が必要です。
また、延性が高く摩擦が少ないことから、彫刻や鏡、反射板、バネなどにも広く用いられています。
まとめ
銅加工の際に見極めが難しい真鍮と青銅。性質や用途が違うため、適切に見分けることが大切です。真鍮や青銅の加工は、「銅加工.com」を運営する株式会社ハタメタルワークスへお気軽にご相談ください。銅の加工に精通した当社が、お客様のご要望にかなう加工方法をご提案いたします。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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