大容量の電流を導電する導体、ブスバー(バスバー)
ブスバー(バスバー)は、配電盤や制御盤などに使われる部品のひとつです。電車や電気自動車など、身近な場所でもたくさんのブスバーが使われています。このページでは、ブスバーの概要や材質、制作工程を解説いたします。
「ブスバー」は配電盤や制御盤に
欠かせないパーツのひとつ
Bus bar
ブスバー(バスバー)とはなにか
ブスバーとは、高圧大電流が流れる箇所に使われる導体です。多くの人にとって聞き慣れない言葉かもしれませんが、電気自動車など意外と身近なところでも使われています。まずは「バスバー」と呼ばれることもあるブスバーの概要と主な用途をご紹介します。
ブスバーの概要
ブスバーとは、配電盤や制御盤、電池などに使用される部品で、大容量の電流を誘導する胴体のことです。ビスを使って固定するだけで配線が完了する手軽さや、電気抵抗の少なさが特徴的で、ケーブルの代わりとしてブスバーが使われることもあります。
ブスバーの主な用途
ブスバーの主な用途は次のとおりです。
<ブスバーの主な用途>
- 電車や電気自動車の制御回路配線
- 車載向けリチウムイオンバッテリー
ブスバーに使われる材質
ブスバーは「銅バー」と呼ばれることもある材質です。銅以外の材質が使われる例もありますが、基本的には「タフピッチ銅」または「無酸素銅」を使って作られます。それぞれの材質の特徴を見ていきましょう。
タフピッチ銅
銅純度が99.90%以上の素材がタフピッチ銅です。銅が持つ通電性の高さを生かしやすく、なおかつ展延性や絞り加工性にも優れています。配電盤などに使われるケースも多く、ブスバーとしてはもっとも流通量の多い材質です。
無酸素銅
銅純度が99.96%以上の素材が無酸素銅です。酸素の含有量が10ppm以下と少ないため、高温化でも強度が低下しません。そのため、溶接やロウ付けが必要な場合など、高温化での加工が必要な用途で使われています。
その他の金属
ブスバーには銅が使われることが一般的ですが、状況に応じてアルミを代用する場合があります。アルミのメリットは、銅と比較して軽く、コストも抑えられることです。ただし、アルミは銅よりも誘導性や引っ張り強度が劣るため、導体の体積を増やさなければなりません。
ブスバーの制作方法と工程
ブスバーの制作方法は「穴あけ」と「曲げ加工」の2ステップです。どのような工程でブスバーを作るのか、ステップごとに詳しく見ていきましょう。
曲げ加工
穴あけ加工を終えた板材を、ベンダーやプレス機を使って曲げる加工です。加工法には「フラットワイズ曲げ」と「エッジワイズ曲げ」の2種類があります。ローコストかつ高度な技術が求められないフラットワイズ曲げを用いることが一般的です。
PICK UP
ブスバーの加工で注意すべき
2つのこと
ブスバーの加工では、以下の2点に注意が必要です。
<ブスバーの加工で注意すべき2つのこと>
- 接続穴の位置関係が安定しにくい
- 曲げたときの側面に出っ張りが生じやすい
銅は柔らかい素材のため曲がりやすく、構造が複雑な場合は接続穴のピッチが安定しません。曲げ加工後に穴あけ加工をするなどの対策が必要です。また、側面に出っ張りが生じた場合は、研磨などにより除去して対策します。